「偶然」と「必然」とか、ちょっとだけ難しいことを考えたいときに読む本(グ・スーヨン『偶然にも最悪な少年』)
最近はめっきり見なくなってしまいましたが、「白ポスト」に入れられてもおかしくないような内容であり、白ポストにふさわしいということは要するに、おもしろいんです。
主人公は在日三世の高校生。
やんちゃな友人や、ちょっといっちゃってる先輩やガールフレンドと、割と楽しく日常を過ごしていました(といっても、割と激しい日常)。
そんな日常(一般的な日本人には非日常)のうちの1日に、お姉さんが自殺をしてしまう。
在日だからというどうしようもない理由に苦しみ、自死してしまったお姉さんに、自分たちを苦しめたにも関わらず、一度も足を踏み入れたことがなかった韓国を見せてやらなれば。
そういって、韓国を目指し東京から、東へ東へ車を走らせる、というお話です。
どうしようもない理由に苦しまなければならいのは、偶然なのか、必然なのか。
自分の「偶然」と「必然」とに照らし合わせながら読むのもよし、そんなことわかりゃしねえよと諦観して読むもよし、来るべき自分の偶然に想いを馳せて読むもよし。
ちょっとエロくて非日常の物語に触れさせてくれて、ちょっとだけ、普段は考えないようなことを考える機会をくれる本です。
市原隼人さん主演で映画化もされています↓
監督が原作者と同じなので、世界観もそのままで見ていてすっとします。